宇宙保険を提供している会社は? 打ち上げから衛星運用まで支える3社

宇宙保険を提供する国内の保険会社には、三井住友海上、損保ジャパン、東京海上日動があります。補償するのは打ち上げの失敗だけではありません。地上での輸送中の損害、軌道上で運用する衛星の故障や損傷、第三者への賠償責任など、宇宙事業のさまざまな段階が対象になります。本記事では各社の公式情報をもとに、保険の対象と事業者への支援の違いを紹介します。事業ごとに条件を設計する保険のため、保険料や補償額の順位付けは行いません。宇宙旅行者向けの商品にも触れながら、宇宙ビジネスのどこで保険が必要になるのかを整理します。

Q&A

Q1宇宙保険を提供する国内の保険会社はどこですか?

本記事では、三井住友海上、損保ジャパン、東京海上日動の3社を紹介しています。国内のすべての提供会社を網羅した一覧ではありません。

Q2打ち上げに失敗したときだけ補償されるのですか?

いいえ。地上での輸送中や軌道上での衛星運用中の損害、第三者への賠償責任に備える保険もあります。対象となる事故や期間は契約によって異なります。

Q3宇宙旅行者向けの保険もありますか?

三井住友海上は、サブオービタル旅行専用の宇宙旅行保険を2026年4月から提供すると発表しています。すべての宇宙旅行を一律に補償する商品ではありません。

宇宙保険は、地上にいる間から必要になる

ロケットの打ち上げが成功しても、衛星が予定どおりに働くとは限りません。反対に、打ち上げる前の輸送中に機器が壊れる可能性もあります。宇宙保険は、こうした事業の各段階で生じる損害に備える保険です。

主な区分は、地上での損害に備える打上げ前保険、打ち上げに伴う衛星の損害に備える打上げ保険、軌道上の衛星を対象とする軌道上保険です。これとは別に、ロケットや衛星の運用で第三者に損害を与えた場合の賠償責任を補償する保険もあります。

今回は、公式サイトで宇宙保険の提供や具体的な取り組みを確認できた国内3社を取り上げます。各社が公表している事業内容の比較であり、引受規模や商品の優劣を示すランキングではありません。

宇宙保険を提供する3社

保険会社公式情報で確認できる提供内容注目した取り組み
三井住友海上打上げ前・打上げ・寿命保険、宇宙賠償責任保険事業に応じた補償設計と宇宙旅行保険
損保ジャパン人工衛星保険、宇宙賠償責任保険再打ち上げの機会を提供するサービスへの保険
東京海上日動ロケットの打ち上げや衛星運用に関わる宇宙保険海外での保険手配と新規参入企業への支援

2026年10月2日に確認した各社の公式情報をもとに作成。補償内容や引受可否は、衛星の仕様、事業内容、契約条件などによって異なります。

三井住友海上火災保険

三井住友海上は、打ち上げ前から軌道上での運用までの保険と、第三者への賠償責任保険を案内しています。公式サイトでは、1975年に日本で初めて宇宙保険の引受を始めたと説明しています。宇宙事業の内容に合わせ、個別に補償を組み立てる方式です。

衛星を対象とする保険に加え、人が宇宙を訪れるための商品も開発しています。2026年3月には、地球を周回せずに宇宙空間から帰還する「サブオービタル旅行」専用の保険を、同年4月から提供すると発表しました。JAXAとの共創活動で開発した商品で、自宅を出てから帰るまでの行程を対象としています。宇宙保険の対象が、機器から旅行者へ広がる事例です。

三井住友海上の宇宙保険 / 宇宙旅行保険の発表資料

損害保険ジャパン

損保ジャパンは、人工衛星保険と宇宙賠償責任保険を提供しています。軌道上の衛星では、宇宙ごみや他の衛星との衝突、太陽風や宇宙線の影響などをリスクの例に挙げています。打ち上げの瞬間に加えて、その後の運用にも目を向けた保険です。

特徴的なのが、Space BDの「リフライト保証」を保険で支えている点です。これは、衛星の打ち上げを希望する事業者がオプションで選び、打ち上げに失敗した場合に再打ち上げの機会を受けられるサービスです。保険の役割を、次の挑戦につながる仕組みとして具体化しています。なお、宇宙ビジネス支援サービスはグループのSOMPOリスクマネジメントが提供しています。

損保ジャパンの宇宙保険

東京海上日動火災保険

東京海上日動は、ロケットの打ち上げや人工衛星の運用に関わる宇宙保険を提供しています。公式の社員紹介では、国内事業者への保険提供に加えて、米国やフランスなど海外での保険手配にも携わる業務を紹介しています。東京海上ディーアールとの連携による、新規参入企業や自治体などへの支援も説明されています。

2022年には、インターステラテクノロジズの「みんなのロケットパートナーズ」への参画を発表しました。ロケット「ZERO」の海外展開と、新たな保険商品の開発に向けた協力が目的です。これは当時の協力方針の発表であり、専用商品が完成・販売されたことを示すものではありません。

東京海上日動の宇宙保険業務の紹介 / インターステラテクノロジズとの協力発表

衛星を失う損害と、他者への賠償を分けて考える

宇宙保険を調べる際は、まず「いつ、何に損害が起きるのか」を分けると理解しやすくなります。衛星そのものの損害と、第三者に対する賠償責任は別の問題です。地上での輸送、打ち上げ、軌道上での運用でも、必要な補償は変わります。

そのうえで、再打ち上げへの備えが必要なのか、海外での保険手配を伴うのか、旅行者を対象とするのかを確かめます。同じ宇宙保険でも、衛星を飛ばす会社と宇宙旅行を扱う会社では、相談する内容が大きく異なります。

関連記事