人材育成を支援する会社にはどこがある? 組織開発・人材開発企業7社の成長率ランキング

人材育成を支援する会社は、研修だけでなく、人事制度の整備や次世代リーダーの育成、組織開発、人材データの活用なども手がけています。本記事では、関連事業を展開する上場企業7社について、2022年決算期から2025年決算期までの売上高・営業利益・従業員数・1人当たり売上高の成長率を比較しました。各指標を25点満点、合計100点満点で評価した結果、1位はスタメン、2位はインソース、3位はタナベコンサルティンググループとなりました。各社の事業の特徴に加え、ランキングには含めていないHRBrain、あしたのチーム、カオナビも紹介します。採用や人材紹介に加え、人と組織の成長を支える仕事にも目を向けてみてください。

Q&A

Q1人材育成を支援する会社には、どんな会社がありますか?

研修を手がけるインソースやアルー、経営人材・次世代リーダーを育てるセルムなどがあります。スタメン、タナベコンサルティンググループ、識学、リンクアンドモチベーションも、それぞれ異なる分野から人材育成や組織開発を支援しています。

Q2人材育成・組織開発企業の成長率ランキングで1位はどこですか?

本記事で比較した7社では、スタメンが85.7点で1位です。2位はインソースの78.6点、3位はタナベコンサルティンググループの60.7点でした。2022年決算期から2025年決算期までの4指標の成長率をもとにした順位です。

Q3この企業ランキングは、何を基準に順位を決めていますか?

売上高、営業利益、従業員数、1人当たり売上高の成長率です。各指標で7社を順位付けし、それぞれ25点満点、合計100点満点で評価しています。2022年と2025年の財務数値を同じ条件で比較できる上場企業を対象にしています。

Q4人材育成の会社は、研修以外にどんな支援をしていますか?

人事制度の構築、経営人材や次世代リーダーの育成、組織開発、エンゲージメント向上、タレントマネジメントなどを支援しています。人材データを育成や配置、評価に生かすサービスもあります。

Q5ランキングに入っていない人材・組織開発企業には、どこがありますか?

本記事では、HRBrain、あしたのチーム、カオナビを紹介しています。HRBrainはタレントマネジメント、あしたのチームは人事評価制度の構築・運用支援、カオナビは人材情報の一元管理やAIを活用した人材分析などを手がけています。

人材不足が深刻化するなか、企業にとって「人を採用する」だけでなく、今いる人材の力をどう引き出し、組織としてどう生かしていくかが重要なテーマになっています。

人的資本経営が広がり、人材への投資を企業価値につなげることが求められる一方、リスキリングや次世代リーダーの育成、エンゲージメント向上など、企業が取り組むべき人材・組織の課題は多岐にわたります。

こうした課題に対して、企業の外部から人材育成や組織開発を支援する会社があります。研修や人材育成の専門会社をはじめ、人事制度や組織開発、エンゲージメント、タレントマネジメントなど、さまざまな分野から企業を支えています。

今回は、組織開発・人材開発に関連する事業を手がける上場企業7社を対象に、2022年決算期から2025年決算期までの成長率を比較しました。

評価したのは、売上高、営業利益、従業員数、1人当たり売上高の4指標。それぞれ25点満点、合計100点満点で評価しています。

各社の成長率とともに、人や組織のどのような課題を支援しているのかも見ていきましょう。

組織開発・人材開発企業7社の成長率ランキング

順位企業名総合スコア
1位スタメン85.7点
2位インソース78.6点
3位タナベコンサルティンググループ60.7点
4位アルー50.0点
4位識学50.0点
6位セルム39.3点
7位リンクアンドモチベーション35.7点

※各指標について7社を順位付けし、1位25点、2位21.4点、3位17.9点、4位14.3点、5位10.7点、6位7.1点、7位3.6点として合計。数値は各社の連結ベースを基本とし、決算期や集計方法は各社の開示資料に基づいています。

1位 スタメン

スタメンは、組織のエンゲージメント向上を支援するSaaS「TUNAG」を中心に事業を展開しています。社内コミュニケーションや業務改善など、企業の組織づくりをテクノロジーで支援するのが特徴です。

2022年から2025年にかけて、売上高は13.0億円から38.2億円へ193.6%増、従業員数も78人から198人へ153.8%増となりました。

コンサルティングに加え、SaaSで人や組織の課題に応える事業は、人材・組織開発の新しい形として注目したいところです。

2位 インソース

インソースは、企業や自治体向けの研修を中心に、人材育成を幅広く支援しています。近年は、DXや生成AI、リスキリングなど、変化する仕事に対応した人材育成にも領域を広げています。

2022年から2025年にかけて、売上高は94.2億円から145.1億円へ54.1%増、営業利益は33.7億円から59.8億円へ77.5%増となりました。

eラーニングやLMSを使った、デジタルによる人材育成にも力を入れています。

3位 タナベコンサルティンググループ

タナベコンサルティンググループは、経営コンサルティングを幅広く手がける一方、人事制度や人材育成、組織開発、人的資本経営なども支援しています。

2022年から2025年にかけて、売上高は105.7億円から145.4億円へ37.6%増、営業利益は9.3億円から15.0億円へ62.0%増。従業員数も495人から711人へ増加しました。

経営戦略と人材戦略を切り離さず、企業変革の一環として人や組織の課題を扱っています。組織・人材開発コンサルティングを考えるうえで、参考になる会社です。

4位 アルー

アルーは、企業向けの人材育成・研修を手がける会社です。若手社員や管理職向けの研修に加え、グローバル人材やDX人材の育成などにも取り組んでいます。

2022年から2025年にかけて、売上高は27.7億円から36.4億円へ31.2%増、営業利益は2.3億円から3.5億円へ53.4%増となりました。

階層別研修からグローバル、DXまで、幅広い人材育成プログラムを展開しています。

4位 識学

識学は、独自の組織マネジメント理論「識学」をもとに、組織コンサルティングや研修などを展開しています。

2022年から2025年にかけて、売上高は38.2億円から53.7億円へ40.4%増。従業員数も215人から257人へ増えました。

一般的な「モチベーションを高める」というアプローチとは異なり、役割や権限、評価など、組織の仕組みに着目しています。組織開発にもさまざまな考え方があることが分かる企業です。

6位 セルム

セルムは、経営人材や次世代リーダーの育成、組織開発などを支援しています。企業ごとの課題に合わせて、研修から人材・組織づくりまで幅広く手がけています。

2022年から2025年にかけて、売上高は64.7億円から81.8億円へ26.5%増、営業利益は7.3億円から10.7億円へ47.3%増となりました。従業員数も177人から249人へ増えています。

特に、次世代の経営リーダーをどう育てるかというテーマは、人的資本経営とも関わりが深い領域です。

7位 リンクアンドモチベーション

リンクアンドモチベーションは、独自の「モチベーションエンジニアリング」をもとに、組織開発や人材育成を支援しています。組織の状態を可視化し、診断から変革、実行、定着までを一貫して支援するのが特徴です。

2025年12月期の連結売上収益は415.2億円。そのうち組織開発Divisionは168.5億円で、前年比13.4%増となりました。コンサル・クラウド事業も前年比14.8%増と伸びています。

今回のランキングでは7位ですが、これはあくまで2022年から2025年までの4指標の成長率を比較した結果です。組織開発を専門に20年以上取り組み、上場企業500社を含む2,000社以上にコンサルティングを行ってきた実績は、同社の強みです。

ランキング以外にもある、人材・組織開発の注目企業

今回のランキングは、2022年と2025年の財務数値を同じ条件で比較できる上場企業を対象としています。そのため、人材・組織開発の領域で存在感を高めているものの、今回のランキングには入れていない企業もあります。

HRBrain

HRBrainは、タレントマネジメントを中心に、人事評価、組織診断、ラーニング、スキル管理などのサービスを展開しています。

管理した人材データを育成や配置、評価などに活用し、企業の人材戦略につなげています。

人材・組織開発とHRテクノロジーが重なる領域で、注目したい企業の一つです。

あしたのチーム

あしたのチームは、人事評価制度の構築・運用支援を中心に、評価クラウドや1on1、eラーニングなどのサービスを展開しています。

査定の仕組みである人事評価を、人材育成や組織づくりにもつなげているのが特徴です。

人事制度から人材・組織開発へと、事業の領域を広げている企業です。

カオナビ

カオナビは、社員のスキルや経験などの人材情報を一元管理し、タレントマネジメントを支援するサービスを展開しています。

近年はAIを活用した人材分析などにも取り組み、人材データを採用や配置、育成などに生かす方向へサービスを広げています。

人材・組織開発でも、データやAIを活用する動きが広がっています。

人材を採る仕事から、生かす仕事にも目を向ける

人材不足が続くなか、企業には採用に加え、一人ひとりの能力を引き出し、組織全体の力を高めていくことも求められています。

今回紹介した企業も、研修やリスキリング、人事制度、リーダー育成、組織開発、エンゲージメント、タレントマネジメントなど、それぞれ異なるアプローチから企業の「人」と「組織」を支援しています。

「人材育成」と聞くと研修会社を思い浮かべるかもしれませんが、その仕事は今や、人を育てることから、組織を変えること、人材データを生かすことまで広がっています。

人材業界の仕事を探すときは、採用や人材紹介に加えて、「人や組織の成長をどのように支援する会社なのか」という視点からも企業を見てみるとよいでしょう。今回紹介した企業の中から、これまで知らなかった仕事や会社を見つけてみてください。